AIによる長文翻訳で最も多い2つの問題は、段落の抜けと用語の不統一です。抜けはたいてい、文書が長すぎて一度の入力が処理範囲を超えるために起きます。用語の不統一は、AIが同じ単語に出会うたびに訳し方を改めて「推測」するからです。どちらの問題も、翻訳が終わってから1文ずつ直すのではなく、翻訳前に手を打つ必要があります。
まず分割する:文字数ではなく構造で切る
文書を章、見出し、段落で切り分け、一度に1つの完全な小節だけを翻訳します。切る位置は章の境界にし、文の途中、表の途中、リストの途中で切らないでください。切れた文脈が失われると、抜けや誤訳がついてきます。各段落を翻訳する前に、AIに1文の背景説明を与えます。これはどんな文書か、誰向けか、訳文はフォーマルか口語的かです。分割して翻訳したら、順序どおりに全文を組み立て直し、段落のつなぎ目を通読して、小節の始まりと終わりで文が抜けていないか、句読点や番号が乱れていないかを重点的に確認します。
用語集を作る:訳し方を決めてから始める
翻訳前に、文書の中の重要な用語を抜き出します。製品名、人名、地名、専門用語、略語です。各用語に1つの訳し方を決めて対照表にし、「どの単語は翻訳せず原文のままにするか」という指示と一緒にAIに渡します。製品名とブランド名はたいてい原文のままにし、人名は通例の訳し方で統一し、地名は公式の訳名に従います。AIには表に厳密に従うよう求め、表にない新しい単語に出会ったら、自分で訳し方を考え出さず、まず印を付けるようにします。長文を数日に分けて翻訳する場合は、毎回同じ用語集を持参しなければ、前後で必ずずれが生じます。
抜けを自分で確認する方法
全文を組み立て直したら、3か所をすばやく照合します。段落数が合っているか、原文と訳文で段落数が同じか。番号とリスト項目がそろっているか、表の行が欠けていないか。すべての見出しがそろっているかです。抜けが見つかったら、AIに「抜けた部分を補って」で終わらせず、抜けた段落を前後2段落と一緒に送り直し、文脈の中で補わせます。図表の中の文字、脚注、ヘッダーとフッターは最も抜けやすいため、翻訳前にそれらの内容が入力に含まれているかを確認し、含まれていなければ先に個別に抽出して翻訳します。
公式文書では、AI訳文は下書きにすぎない
契約書、論文、製品説明書などの公式文書では、AI訳文が終わった後、必ず人が重要文を再確認しなければなりません。数字、日付、金額、責任条項、操作手順は、1か所たりともAIだけに任せてはいけません。用語集、原文、訳文の3つを照らし合わせながら確認し、変更するのは訳文だけで、用語集は動かしません。再確認が終わってから納品し、納品前に訳文全文を最後にもう一度読み、つなぎ合わせた段落の寄せ集めではなく、1つのまとまった文書として読めることを確認します。