エージェント代購は今回の AI 競争で最も声高に語られる場面の一つだ。人に代わって店を回り、価格を比べ、注文まで済ませる。2026 年 10 月 16 日、a16z は週次チャート特集で Cloudflare、米国小売連合会(NRF)、Similarweb などのデータをまとめ、この物語に数字付きの冷や水を浴びせた。EC プラットフォームは買い物エージェントを組織的に締め出しており、消費者自身も支払いの権利を手放す準備は到底できていない。
遮断はデータに出ている:403 応答は夏以降で約 2 倍
Cloudflare の統計では、エージェントとボットが受け取る 403 拒否応答の割合が今夏以降はっきり上昇し、以前の水準の約 2 倍になっている。a16z の読みは、大型 EC がエージェントに迂回されることを拒んでいるというものだ。利用者がエージェントとだけ話すようになれば、プラットフォームは顧客との直接の関係も、閲覧に支えられた広告収入も失う。さらに厄介なのが返品と不正という古い問題である。NRF のデータでは、2019 年以降、返品率は約 2 倍、返品の総コストは約 3 倍になり、支払い異議の濫用が最も多い不正懸念だ。注文したのがエージェントなら、買い間違いは誰の責任で、返品送料は誰が出すのか。公認の答えはなく、プラットフォームがまず門を閉めるのは意外ではない。
消費者が AI に任せるのは真ん中の工程だけ
需要側のデータも控えめだ。調査では約 4 分の 1 の回答者が、奢侈品を除く多くの消費財の購入を AI に任せてもよいと答えた一方、42% は AI に代行購入をまったく信頼できないと明言した。Similarweb のクリックストリームもこれに重なる。買い物の途中で AI を経由する旅程は増えているが、AI ショッピングセッションの大多数は発見と購入の間の「中間段階」にとどまる。調べ物、宿題、価格比較までで、最後の購入ボタンを押すのは依然として人間だ。ChatGPT が Chrome タブを直接操作する ような能力がまず閲覧と整理の工程に落ちた理由もここにある。抵抗が最も小さい場所は、支払いから最も遠い場所なのだ。
本当に詰まっているのは帰属と責任
a16z は見落とされがちな帰結も指摘する。消費者が AI 主導の中間段階で説得され、別のセッションで自分で買えば、広告の帰属は途切れ、誰がその購入を生んだか誰にも言えなくなる。代購エージェントを作るチームへの教訓は具体的だ。当面の現実解は「AI が宿題を済ませ、人が最後に決める」半分モデルであり、権限の段階付け、金額上限、取り消せる確認といった設計が、注文速度よりはるかに重要になる。プラットフォームがエージェントに正式な通路を開き、返品責任に業界の慣行ができるまで、代購は本当には始まらない。それまで門は閉まったままで、しかもデータを根拠に閉まっている。