AIのデータ集計がいつも間違うのは、不注意だからではなく、もともと計算機ではないからだ。大規模言語モデルはトークン単位でテキストを生成し、次の語を予測して答えを組み立てるのであって、実際に演算を実行しているわけではない。桁数の多い加減乗除では繰り上がりがずれやすく、表が長くなれば行を読み飛ばしたり、同じ行を二度読んだり、定義の異なる数字を混ぜてしまったりする。それでも自信たっぷりの口調で、合わない合計を返してくる。対策は単純で、暗算させるのをやめ、計算は数式とコードに任せ、モデルには要件の理解と手順の整理だけをさせることだ。
具体的にどこでつまずくのか
第一に計算そのものだ。桁数と中間ステップが増えるほど、テキスト生成ではどこか一桁がずれやすく、計算機のようにエラーを知らせてもくれない。第二に表の読み込みで、データが長すぎると途中で切り捨てられ、後半を読み切れないまま集計して一部が欠ける。第三に定義の不一致で、税込みと税抜き、返金済みと未処理の行が同じ種類として合算されてしまう。この3つが重なると、間違いがもっともらしく見え、一目では見抜きにくい。
検証できるこの4ステップに変える
- 先に定義を決めてから着手する:対象行の範囲、税込みかどうか、返金を差し引くかどうか、どの項目でグループ化するかを明確にし、確認できてから処理させる。
- 数式やコードを書かせて計算させる:表計算の数式、表関数、短いスクリプトを出させ、ソフト側で実際に計算させる。合計を直接言わせない。
- 中間の小計を段階的に出力させる:月別、カテゴリ別、グループ別に小計を出させ、それを合計させることで、合わない箇所をすぐ特定できる。
- 既知の基準点で抜き取り確認する:まず総行数を確認し、手計算で確かめられる小計を1つか2つ比べ、最後に元の表のピボット集計結果と照らし合わせ、3つが一致して初めて合格とする。
AIは補助にとどめるべき場面
金額の精算、給与、経費精算のように1桁の誤りも許されない場面では、AIは定義決め、数式作成、異常の洗い出しまでにとどめ、最終的な数字は表計算ソフトで再確認してから使う必要がある。データを渡す前の整理も欠かせない。結合セル、重複した見出し行、途中の空行がある表は、先に分解し、重複を取り除き、形式をそろえてから渡すこと。そうしなければ、定義を細かく決めても、読み込まれるデータ自体が乱れており、以降のすべての手順に誤りが引き継がれてしまう。