2026年10月31日、CoinDeskは、Anthropicに連動する2件の無期限契約(パーペチュアル)が分散型取引所Hyperliquidですでに取引されており、トレーダーが上場前にレバレッジを使って同社の価値に賭けていると報じた。そのうち1件が示唆する企業価値は1.9兆ドル近いが、それはトレーダー同士の値付けの結果にすぎない。契約は株式を渡さず、Anthropicは発行価格を何も確認していない。
| 契約 | 追跡対象 | 取引開始当初の動き |
|---|---|---|
| EntropyのANTH | 企業価値の総額。価格1ポイントが10億ドルに相当 | 約1,880を示し、示唆される企業価値は約1.9兆ドル |
| trade.xyzのANT | AnthropicのクラスA普通株1株の価格 | 約138ドルで始まり、数時間で約110ドルまで下落。下落率約20%、未決済建玉は約170万ドル、レバレッジは最大10倍 |
買えるのは価格へのエクスポージャーであって株式ではない
どちらの契約も株式を渡さない。株式も、分配金や議決権も、発行体に対する請求権もない。trade.xyzは米証券取引委員会(SEC)への書簡で、保有者が得るのは「合成的な価格エクスポージャー、それだけだ」と率直に述べている。Anthropicが上場すれば、ANTは上場後の株価に連動する通常の無期限契約に移行する。trade.xyzは11月20日の上場を見込んでいるが、Anthropicは確認しておらず、その時点で上場していなければ60日の猶予期間が適用され、最長で2027年1月19日までとなる。
Anthropicはこの2件の契約について公にコメントしていないが、ヘルプページでは以前から、先物契約やトークン化証券などの仕組みを通じて一般に自社株を売ると称する者は「価値のない投資を提供している可能性がある」と警告し、未承認の株式譲渡は無効だとしている。CoinDeskは、無期限契約は株式を渡さず、株式を表すとも主張していないため、Anthropicがこの警告がこうした契約にも及ぶかどうかを説明していないと指摘する。契約は米国居住者には提供されていない。
1.9兆ドルという数字はどこまで信じられるか
Unchainedの集計では、7つの海外暗号資産取引所の契約が示唆する企業価値は1.87兆ドルから1.92兆ドルで、報じられている上場の目標レンジ(1.5兆ドルから2兆ドル)の上限に近い。だが、Unchainedが追跡した、上場を終えた同種の契約7件は、初値を平均で約25%外していた。コピーできる公開株価がない場合、契約の初値は運営者が設定し、IPO価格はAnthropicと引受証券会社が独自に決める。両者は連動していない。
さらに注意が必要なのはレバレッジだ。ANTは最大10倍のレバレッジで、価格が不利な方向に10%動けば証拠金はすべて失われかねない。最初の1時間で約20%下落したことが、すでにそれを示している。契約価格を企業価値とみなすことは、トレーダーの期待を会社の価格設定と取り違えることだ。Anthropicの5月の非公開資金調達後の企業価値は約9,650億ドルで、契約上の1.9兆ドルとの間には、検証されていない市場が丸ごと横たわっている。