AIとの会話が脱線し始めたら、慌てて最初からやり直さないでください。同じ会話の中で、目標と、既に確認済みの結論と、変えてはいけない要件をもう一度固定すれば、大抵の脱線は引き戻せます。原因はモデルが急に鈍くなったことではなく、長く話すうちに最初に決めたことが後の雑談や言い換えに薄まり、直近の数往復に引っ張られることです。
長く話すほどずれる理由
会話が長くなるほど、モデルが同時に抱える内容は増え、しかも重み付けは均等ではありません。最新の発言が最も重く、最初に定めた目標や形式、禁止事項は数十往復もすると新しい話題に埋もれます。さらに、相手に合わせて頷いたり直したりする癖が重なると、あなたが何気なく出した新しい案を新しい方針と受け取り、一度否定した案をまた持ち出します。厄介なのは少しずつの脱線で、一つ一つの返事はつながって見えるのに、最後になって課題自体がすり替わっていることに気づきます。
引き戻す三つの手順
一歩目は、現状を言い直させることです。最初に解くはずだった問題は何か、確定した結論はどれか、変えてはいけない要件は何か、直接聞いてください。要約がずれている場所こそ脱線の起点で、曖昧に続けるより、その場で正す方が効きます。二歩目は、固定文を作ることです。目標、確定した結論、硬い要件を三〜五文にまとめ、会話の節目ごとに貼り直すか、新しい依頼の前にその文を引いてから話すようにします。方向の定期的な再調整です。三歩目は、切るべきときに切ることです。要約すらまともにできないほど長くなっていたり、途中で方針が二度変わっていたりしたら、無理に救おうとしないでください。まだ有効な結論だけを要約させ、その要約を持って新しい会話を開き、確定事項は覆さないよう明言します。新規の会話と綺麗な要約の方が、旧会話で何度も正すより速いことが多いものです。
引き戻さない方が正しい場合
課題自体が途中で本当に変わった場合、たとえば企画づくりから予算づくりに移ったなら、それは脱線ではなく題材の変更で、古い目標に固定する方が邪魔になります。新しい会話が正解です。また、確定したはずの結論を二度正しても覆し続けるなら、その会話の文脈はもう混ざり過ぎていて、要約を持っての引っ越しが時間を節約します。日常の習慣は一つで十分です。大事な長い会話では、途中で一度要約させること。記録になると同時に、後半の内容に新しい錨を打てます。