ファーウェイとクアルコムの特許ライセンス合意は 2026 年 10 月 5 日に発表された。両社は複数年にわたる広範な特許ライセンス契約を結び、5G、コンピューティング、人工知能、ネットワーキング分野における特許ポートフォリオのクロスライセンスに加え、クアルコムがコンピューティング、AI、ネットワーキングなどの分野におけるファーウェイの一部米国特許を購入することも含まれる。取引は必要な規制当局の承認を経て完了し、発表では公平・合理的・非差別的(FRAND)原則に従うことが強調された。
両社の関係における転機と言える理由
これは 5G 技術をカバーするファーウェイとクアルコムの初の特許ライセンス契約であり、ファーウェイがコンピューティング、AI、ネットワーキング分野の特許をこの米半導体設計会社にライセンスし譲渡するのも初めてだ。両社のライセンス関係は 20 年以上に及ぶ。ファーウェイがクアルコムに初めてライセンス料を支払ったのは 2001 年、モトローラから初のライセンス収入を得たのは 2011 年だった。今や立場は変わり、ファーウェイは支払う側から、クアルコムが買い取る側に回る特許の持ち主になった。ファーウェイの知財責任者 Alan Fan は、物理限界に迫るポーラ符号の信号伝送技術など 4G/5G 標準への同社の貢献を挙げ、クアルコム技術ライセンス部門の責任者 John Han は、この合意がクアルコムの 5G 技術におけるリーダーシップと標準必須特許ライセンスプログラムへの業界の評価を再確認するものだと述べた。
69 億ドルという数字が示すもの
ファーウェイによると、この取引が完了すれば、同社の特許ライセンス契約の累計金額は 69 億ドルを超える見通しで、知的財産ライセンス事業は 2021 年以降黒字を続けている。背景には、2019 年以降の米国の貿易制限で先端半導体や重要ソフトウェアの調達が難しくなる中、同社が研究開発費を増やし続けてきた事情がある。特許ライセンスは、その研究の蓄積を直接キャッシュフローに変える数少ない経路になった。今年 8 月には HP とのライセンス提携を発表しており、クアルコムとの合意は規模でも象徴性でもそれを上回る。半導体を自由に買えない状況でも、標準必須特許の蓄積が交渉の席を確保できることを示したからだ。
市場への影響は時間をかけて表れる
両社は取引額や料率を公表しておらず、実際の影響は規制承認、完了時期、その後の履行次第だ。業界にとってより示唆的なのは前例としての意味である。輸出規制を受ける企業が特許ポートフォリオの力で米半導体大手と 5G と AI をカバーするクロスライセンスを結べるなら、特許は法務部門の防御資産にとどまらず、サプライチェーンリスクをヘッジする経営手段になる。大量の標準必須特許を持つ他社も、主要なライセンサーとの交渉で新たな参照点を得ることになる。