カリフォルニア州 SB 947 が成立した。2026年9月30日、ギャビン・ニューサム知事が「No Robo Bosses Act(ロボット上司禁止法)」に署名し、2026年制定法第859章として、州労働法に第1520条から始まる新たな編が加わった。この法律が担うのは一点だけだ。2027年7月1日以降、カリフォルニア州の雇用主は、自動意思決定システム(ADS)の出力だけを根拠に、従業員への懲戒や解雇を行えなくなる。
制限の具体的な中身
ここでいう ADS とは、従業員を採点・順位付け・フラグ付けするソフトウェア全般を指す。欠勤ポイントから処分通知を自動生成する勤怠システム、「信頼できない」とラベル付けするシフト管理ツール、カメラ解析、業績スコアリングなどが含まれる。こうしたシステムが懲戒・解雇の主たる根拠になる場合、法律は人による裏付けを求める。上司の評価、人事ファイル、本人の業務成果、目撃者への聞き取りといった独立した証拠と照合しなければならず、裏付けが取れない場合や、出力が不正確・不完全・誤解を招くと判明した場合は、その出力を使ってはならない。
義務はさらに三つある。雇用主は、影響を受けた従業員に対し、平易な言葉で書面の事後通知を渡さなければならない。従業員は、過去12か月間にシステムが主に使用した自分自身のデータの説明を求めることができる。そして ADS を、州の公正雇用住宅法が保護する属性の推測、雇用・安全・市民権に関する法律の回避、法的権利を行使する従業員の予測と処罰に使うことは禁じられる。これらの権利を主張した従業員への報復も禁止されている。
対象になる人、ならない人
義務が及ぶのはカリフォルニア州内の雇用関係と、在職中の従業員への懲戒・解雇であり、採用時の応募者選考は対象外だ。これらの規定の明示的な放棄を含む有効な労働協約がある場合、当事者は本法の適用外となる。連邦の要件に結び付いた国家安全保障・軍事・宇宙・防衛関連の利用も除外される。これは州法であり、連邦法でも世界共通の規則でもない。10月1日に施行されたコネチカット州の規則が採用時の書面告知を扱うのに対し、カリフォルニア州法が扱うのは入社後の処分である。なお、州消費者プライバシー法の対象となる雇用主は、プライバシー保護局の自動意思決定技術規則も引き続き適用される。二つの制度は並行して走る。
2027年7月1日までに直すべきこと
第一に、ツールの棚卸し。一般的な人事ソフトとして導入したものも含め、出力が懲戒・解雇の判断材料になり得るシステムをすべて洗い出す。第二に、人の裏付けを「判子を押すだけ」の作業にしない。誰が確認し、どの独立した資料を照合し、検証に失敗したらどうするかを、手順として文書化する。第三に、書類の準備。事後通知のひな形、従業員からのデータ説明請求への対応手順、そしてベンダーに対して「どの従業員データを使い、判断根拠を出力できるか」を問う質問を用意しておく。
本当のリスクはどこにあるか
民事制裁金は1件あたり500ドルで、労働コミッショナーまたは検察官が執行する。1件では小さく見えても、従業員と判断の数だけ積み上がり、差止め命令もあり得る。より大きな問題は証拠の側面だ。解雇が争われたとき、裏付けの手順を示せない雇用主は、決定そのものの正当性を守るのが難しくなる。施行までの9か月は、人の確認を実質あるものにするために使うべきだ。後付けの署名こそ、この法律が退けようとしているものだからである。