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Modal VM Sandboxes が正式 GA:エージェントが求めるのはコンテナではなく一台のコンピューター

Modal VM Sandboxes が正式 GA:エージェントが求めるのはコンテナではなく一台のコンピューター

AI情報 • Admin • • 6 回閲覧

Modal VM Sandboxes が 2026 年 10 月 1 日に正式 GA となった。AI クラウドインフラ企業の Modal が公式ブログで発表したもので、AI エージェントのための完全な Linux 仮想マシンだ。サンドボックスのランタイム指定を runtime="vm" に切り替えるだけで、エージェントは本物のコンピューターの中で働けるようになる。Docker の実行、ローカルデータベースの起動、Linux カーネルをいじることまで可能で、API・イメージ・従量課金は従来のまま変わらない。

1 つのフラグで、コンテナから実機へ

VM Sandboxes は Modal サンドボックスの操作感をそのまま引き継ぐ。同じ API、modal.Image イメージの再利用、サブ秒のコードスタート、バースト可能な CPU とメモリ、クラスタあたり数十万の同時サンドボックス。変わるのは足元で、gVisor コンテナの代わりに本物の仮想マシンが動く。Modal は Rust 製の Cloud Hypervisor をベースにランタイムを自社開発し、ホストファイルシステム、イメージの遅延ロード、メモリバースト、スナップショットに独自の工夫を重ねた。

切り替えコストはほぼゼロだ。gVisor サンドボックスは引き続きデフォルトのランタイムであり、実機への移行はフラグひとつ。公式の指針も率直で、「ユーザースペースの壁(Docker、FUSE ファイルシステム、特殊なカーネル機能)にぶつかったときだけ VM を選べ」というものだ。

エージェントがコンピューターを求める理由

ブログでは転機が語られている。今年前半、Modal のチームは、Ramp が Modal サンドボックス上にソフトウェア開発ライフサイクル全体を駆動する社内エージェントを構築する様子を見て、エージェントが本当に求める実行環境がはっきりしたという。

評価や本番で動くエージェントは、「本物のマシン」の中に住みたがっている。Docker スタック、ローカルデータベースや開発サーバー、グラフィカル環境、モバイルシミュレーター、さらには Linux カーネルそのものまで。一方で Modal は、コンテナ時代に培った使い勝手——exec・ファイルシステム API やバースト可能なリソースモデル——を捨てたくなかった。そこで両者を組み合わせた。VM の能力に、コンテナの手触りを。

すでに動き始めている 3 つの事例

GA 前から VM Sandboxes は数か月間アーリーカスタマーの手に渡り、累計 2000 万台以上の VM が起動された。ブログは 3 社の名を挙げている。

Linear の Coding Sessions は、Linear を離れることなく issue をコーディングエージェントに渡せる機能で、各セッションの背後ではユーザーの完全な開発環境を載せた VM が動く。Linear のエンジニアによれば、切り替えはフラグひとつで、その後はすべてが正常に動作し、Docker は通常の Linux ホスト上と同じように動くようになったという。

法務 AI の Legora は、長時間のエージェント評価に使う。各サンドボックスに Legora アプリ全体——Postgres、DOCX エディター、エージェント自身のコードサンドボックス——を載せ、数千の文書を相手に何時間も走らせる。以前はコンテナ内で完全な Docker を再現するために、あらゆる層でネットワークや FUSE の回避策が必要だった。VM に変えて、それらの回避策はすべて削除された。

フロンティア AI データラボの Snorkel はエージェントシミュレーションに使う。月数百万回のシミュレーションで、エージェントは現実に近い環境でゼロダウンタイムのデータベース移行や負荷下でのサービス切り替えをこなす。「シミュレーションを意味あるものにするには、環境がエージェントが実際に向き合う現実世界を映していなければならない」。VM Sandboxes は各シミュレーションに完全なマシンを与える。

単なる「設定アップグレード」ではない

いくつかの点を重ねると、この発表の重みが見えてくる。

第一に、エージェントインフラの競争の焦点が下の層へ移っている。モデルの差がつきにくい時代に、エージェントにより本番に近い「コンピューター」を与えられる者が、より難しいタスクをものにする。今回 Modal が埋めたのは「環境の忠実度」の部分だ。

第二に、Modal は地図の両半分を揃えつつある。少し前に GA となった Modal Clusters がマルチノード学習を狙うのに対し、VM Sandboxes はエージェントの実行と評価を狙う。片方は「モデルを作る場所」、もう片方は「モデルが働く場所」だ。

第三に、開発者にとっての判断はシンプルになった。既存のサンドボックスでワークロードが快適に動いているなら触る必要はない。エージェントが Docker やカーネルモジュールといった「実機の特権」を求め始めたら、フラグをひとつ切り替えるだけ。プラットフォーム変更もイメージの書き直しもいらない。

もちろん境界もある。GA 初日の VM Sandboxes は、シームレスな置き換えのために意図的に「コンテナの形」をしている。VM のプログラミングモデルを活かした新しいプリミティブはこれからだ。Modal 自身も、次の目標は VM をさらに軽く、さらに伸縮自在にすることだと言う。

ただ方向ははっきりしている。2026 年のエージェント競争の後半戦は、モデルだけでは決まらない。エージェントが住む「コンピューター」がどんな姿かで決まる。

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