11月3日、ブラジル・サンパウロ州の裁判所は、Metaの新しい商用規約に対して仮処分を出した。全国3つのメディア団体の加盟社のニュース記事は、許可なくAIの学習に使ってはならないという内容だ。11月6日、Metaはこの規約更新を一時停止すると発表し、当初11月20日に予定されていた施行日は消滅した。ブラジルの裁判所が仮処分でMetaのクロール規約に歯止めをかけたのは初めてで、違反には1日あたり100万レアル(約18万米ドル)、上限1億レアルの罰金が科される。
仮処分が止めたもの
11月3日、サンパウロ第44民事裁判所のギリェルメ・マデイラ・デゼン判事は、ブラジル全国新聞協会、ラジオ・テレビ放送協会、雑誌出版社協会の申し立てを受けて仮処分を出した。仮処分はMetaの新規約の関連部分を停止し、加盟メディアのコンテンツを許可なく収集・利用すること、開発や学習、Meta AIへの提供を含めて禁じた。同時に、規約を拒んだメディアのアカウント停止、ページ制限、ビジネスツールの遮断も禁じた。判事は、著作権で保護された作品を無償で差し出すことを、人々がニュースに接するチャンネルに残るための条件とすることは、明らかな権利の濫用だと述べた。判決はまた、ブラジル法には商用AI学習のための一般的なテキスト・データマイニング例外はなく、作品の複製や商業利用には権利者の許諾が要ると指摘した。Metaは通知から5日以内に答弁しなければならない。
誰に影響し、いま何をすべきか
仮処分が直接守るのは3団体の加盟メディアだけで、効力はブラジル国内にとどまり、世界的な禁止ではない。11月6日のMetaの一時停止は規約更新そのものが対象で、4つの規約群に及び、同社は関係者との対話を続けるとし、現行規約は有効なままだとしている。加盟メディアはアカウントへの不利益を恐れず新規約を拒めるが、団体外のメディアは仮処分の保護を受けず、自らリスクを判断する必要がある。企業は注意が必要だ。Metaの規約プレビューからは「学習」の文言が消えたが、クロールの許諾は残っている。企業は、クローラーなどの自動ソフトウェアによる「アクセス、インデックス作成、キャッシュ、分析、収集、取得、クロール」を、自社の製品やサービスに関連するドメインに対してMetaに認めている。Metaのビジネス製品で集客している企業は、自社サイトがこの許諾に含まれるか確認し、許諾ややり取りの記録を残し、ブラジル事業だけ別にコンプライアンス点検を行うべきだ。
リスクと境界:停止は終わりではない
この仮処分は暫定的な措置で、最終判決ではない。Metaが答弁すれば結論が変わる可能性があり、最終判決の日程も決まっていない。同様の抵抗はすでに起きている。10月28日にはノルウェーのオスロ地方裁判所が10のメディアグループの申し立てで同じ規約を一時凍結し、英競争・市場庁も同じ規約をめぐってMetaの調査を開始した。Metaは施行前に「学習」の文言を削り、施行日を11月20日に延期していた。11月6日の一時停止で11月20日という期限はいったん無意味になったが、クロール許諾そのものをめぐる争いは解決していない。更新は一時停止にすぎず、Metaはクロールの枠組みを撤回していない。次に注目すべきは2点、Metaが5日間の答弁期間内にブラジル裁判所にどう応えるか、そして出版社との協議から新しい規約案が生まれるかだ。