2026年10月7日付のイタリア立法令第179号は10月23日に施行され、全文は10月8日付の官報(Gazzetta Ufficiale)第234号に掲載された。全54条のこの法令は、EUのAI法をイタリア国内の執行レベルに落とし込むものだ。誰が監督し、違反すればいくら罰金を科され、雇用主がAIで人を管理する際に守るべき境界は何かについて、国内の対応規則が整った。まず適用範囲をはっきりさせておきたい。この法令が効くのはイタリア国内だけで、EU共通の規則ではない。EUレベルで同種の義務が適用されるのは、ずっと先のことだ。
まず担当機関を確認する
第4条は、イタリア・デジタル庁(AgID)を、適合性評価機関を評価・指定・通知・監督する通知当局と定める。第5条は国家サイバーセキュリティ庁(ACN)をAIシステムの市場監視当局とし、第6条はACNをEUとの単一連絡窓口とし、附属書III第2号に掲げるハイリスク・システムの国内登録も担わせる。銀行、金融仲介、保険におけるハイリスク用途は、それぞれの権限の範囲内で、イタリア銀行、CONSOB、IVASSが監督する。データ保護当局が市場監視の役割を担うのは、EU法第74条第8項が定める範囲内に限られる。法令は省庁間の調整委員会と当局間の協定も設けている。見解が食い違う場合は、「EUの要求」という漠然とした言い分ではなく、担当当局の見解が基準になる。
雇用主がまず改めるべき2点
第41条は人事判断を直接規律する。雇用主がAIシステムを使って判断を補助する場合、懲戒処分や業績評価を含む労働関係の成立・変更・終了に関する最終判断は、自動処理だけに基づいてはならない。最終判断は、実効的で自律的な判断権を行使する自然人に委ねなければならない。従業員の同意も例外にはならない。ただし、候補者の探索や選考は最終判断には当たらない。システムが候補者を次の段階に進ませなかった場合でも同じだ。処理の開始前に、雇用主は1997年立法令第152号第1-bis条の情報提供義務を果たさなければならず、従業員は、自然人を介して、AIの影響と主なパラメータについて理解できる説明を受ける権利がある。この規則に違反して行われた解雇は無効であり、違反して行われた他の判断も無効である。
第42条は安全評価を規律する。仕事の組織、生産ペース、業務の遂行方法、または安全に関わる意思決定プロセスに影響するAIシステムの利用は、2008年立法令第81号第28条のリスク評価文書(DVR)の中で併せて評価しなければならず、雇用主は具体的なリスクと予防・保護措置について従業員への情報提供と研修も行わなければならない。境界はここだ。第42条は、あらゆるAIツールを単独のリスクとみなすわけではなく、上記の影響を持つシステムだけを対象とする。
罰金は4段階、雇用主のコストは罰金だけではない
第23条は、罰金の上限を4段階で定める(刑事犯罪に当たる場合を除く)。EU法第5条の禁止行為については、3500万ユーロまたは全世界の年間売上高の7%のいずれか高い方。提供者、輸入者、販売者、展開者の義務については、1500万ユーロまたは3%。通知機関や当局に不正確、不完全、または誤解を招く情報を提供した場合は、750万ユーロまたは1%。第27条と第86条の義務については、100万ユーロまたは0.5%だ。罰金は、AgIDと各市場監視当局が、それぞれの権限の範囲内で科す。雇用主はもう一つの線にも注意すべきだ。第41条の帰結は判断の無効であり、後から人の署名を補っても、すでに無効とされた解雇を救うことはできない。
あと2点、動く前に確認する
第26条は、国家AI当局の直接の監督の下でイタリアAI規制サンドボックスを設ける。企業が管理された環境で実験し、規制当局が実験から学ぶための仕組みで、中小企業とスタートアップが特に名指しされている。ただし、サンドボックスの運用規則は今後の合同文書を待っている段階で、実験の窓口に今日すぐ入れるわけではない。第52条は、条件を満たす学習データ、アルゴリズム、数学的手法を営業秘密の保護の範囲に入れる。研修の章には時間割もある。教員研修の基準は、施行から90日以内に大臣令で定めなければならない。施行は出発点にすぎない。サンドボックスの細則、登録手続、教員研修の基準が出そろう前に、判断の記録、情報提供の手続、DVRの更新をしっかり整えておくことが、細則を待つことよりも重要だ。