AI画像で最も困る失敗ポイントは、手と文字の二つだ。先に結論を言う。この二つは「プロンプトを練る」だけでは根本解決できない。手は画面の複雑さを下げて回避し、文字は生成と組版を二段階に分けて解決する。この理屈が分かれば、成功率はぐっと上がる。
手と文字が苦手な理由
これは特定モデルの一時的なバグではなく、拡散モデルの仕組みそのものが原因だ。拡散モデルはノイズから段階的に画像を組み立てるもので、学んでいるのは画素テクスチャの統計的パターンであって、「手には指が五本ある」といった解剖学的知識ではない。手は無限のポーズを取り、学習データに鮮明な接写が少ないため、モデルは勘で描く。指が一本多かったり少なかったり、くっついたりするわけだ。
文字の問題はさらに根深い。モデルは文字を「知らない」。文字を装飾テクスチャとして描くのだ。「ここには文字っぽい記号の列があるはず」とだけ理解して、文字に見えて文字でないものを出力する。単純で繰り返しの多い英字はまだましだが、画数の多い複雑な漢字はほぼ確実に崩れる。
まず減らす:手を目立たせない
手は失敗の温床なので、力ずくで描かせるより、目立つ位置に出さないのが一番効く。バストアップ、横顔、後ろ姿の構図なら手の接写は自然に避けられる。手をポケットに入れる、カップを持たせる、肩に置くなど、遮蔽と固定ポーズがあればモデルの負担は大幅に減る。人数も欲張らない。単独の人物は群像より失敗率がずっと低い。最後にネガティブプロンプトも忘れずに。extra fingers、deformed hands、extra limbs などを入れておくと、不良品をもう一段ふるい落とせる。
文字を描かせるとき:短く、引用符で囲む
どうしても生成画像に文字を入れたいなら、二つのコツを覚えておこう。第一に、文字の指定は短く。キャッチコピーは三〜六文字まで、英語優先で、長い宣伝文句をプロンプトに詰め込まないこと。第二に、描かせたい文字を引用符で囲んではっきり示す。例:a poster with the text "SALE" in bold red letters。文字列が短く単純なほど、テクスチャとして崩れる確率は下がる。
本格的な組版:背景と文字を分けて作る
ポスター、表紙、SNS用画像など、本当に組版が必要な場面では、最終手段は完全分離だ。まずAIには文字なしの背景だけを生成させ、画面、雰囲気、被写体を最高に仕上げる。その後、Canva や Photoshop で文字を手動で入れる。
メリットは二つ。AI が「文字を描く」という無理ゲーから解放され、背景の質が上がる。フォント、サイズ、字間、色を完全にコントロールでき、生成画像では絶対に出せない組版の仕上がりになる。プロっぽい AI ポスターの多くは、実はこの流れで作られている。見た目は AI、文字はツール、という分業だ。