NVIDIA Cosmos プラットフォームは、2026年10月22日の GTC Berlin 期間中に体系的な拡張を受けた。NVIDIA 公式ブログは同日、世界モデルのツール群をデータから学習、デプロイまで広げたと発表した。Cosmos Data Factory の新たなブループリント、Cosmos Framework の学習レシピ拡張、シミュレーション向け Cosmos 3 Nano の新バリアント、より高速な NIM マイクロサービスが含まれる。世界モデルの役割は、ロボットや自動運転システムが現実環境に出る前に、シミュレーションの中で物理世界を理解し、安全に試行錯誤できるようにすることだ。
最初に埋められたのは、データの弱点
Data Factory は学習データのラベリング、選別、拡張、評価を担う。今回追加された5つのクラウドネイティブなブループリントは、自動運転データセット生成、画像属性の拡張、稀な事象の動画生成、欠陥画像生成、動画データ拡張をカバーし、GitHub のほか Azure、Nebius、CoreWeave で利用できる。動画データセット処理を担う Cosmos Curator は、マルチモーダルかつマルチセンサーの入力に対応した。導入事例が規模感を示す。ポルシェは Microsoft Azure 上でこのツールを使い、フォルクスワーゲン・グループ各ブランド共通の自動運転データフライホイールを構築中で、NVIDIA によれば反復的な実車テストを最大90%削減し、開発サイクルを最大85%短縮することが目標だ。ANYbotics は1500本超の合成動画を生成し、液体漏れなどの異常を検知する産業用巡回ロボットの学習に使った。
学習レシピはより多くのモデルへ、デプロイは最大2倍高速に
GTC Berlin で NVIDIA は、Cosmos Framework の学習・最適化・デプロイのレシピをエージェントスキルとしてより多くのオープンモデルへ広げ、GR00T、Alpamayo、Qwen、Pi0.5 などの互換モデルに対してファインチューニング、強化学習、蒸留、量子化を行えるようにした。研究ラボ MicroAGI は具体例を示した。320億パラメータの Cosmos 3 を80億パラメータの Nano 版へ、精度を落とさず蒸留したという。提供面では、更新された Cosmos 3 NIM マイクロサービスが検証済み構成で最大2倍の推論高速化を実現し、新しい Nano シミュレーションバリアントにより、自動運転や双腕ロボットのポリシーを再現可能な多視点シナリオで先に検証できる。物理 AI に取り組むチームにとって今回の更新の価値は、単一のベンチマークではなく、これまで別々に寄せ集めていたデータ、学習、評価、デプロイの工程が一つのオープンプラットフォームに収まったことにある。