Asana のブラウザエージェントのコストは、2026 年 10 月 9 日に OpenAI が公開した導入事例で表に出た。Asana のノーコード・ワークフロー基盤 StackAI のブラウザエージェントは、最適化を経て GPT-6.1 Sol 上で 1 回あたり平均推定 0.47 ドル、約 4 分で動くようになり、他社モデル(事例では Model B)上の従来の本番構成と比べて 76 分の 1 のコスト、5 倍の速さになった。ただし見るべきは倍率そのものではなく、その中身である。
お金はどこに消えたか:毎ステップで履歴全体を再送していた
StackAI は、コードを書かずにワークフローを組み、エージェントにサイトを開かせ、フォームへ入力させ、情報を集めさせる製品だ。StackAI の CTO、Frank Hidalgo はブラウザエージェントを速く安くしたくて、人手で調べる代わりに Codex 内の GPT-6 Astra にコードベースの調査、改善案の提示、対照実験の実行を任せた。手作業なら 1〜2 か月という見積もりの作業が約 1 週間で終わったという。Astra が見つけた問題は具体的だった。このエージェントは固定の指示とツール定義はキャッシュしていたが、増え続ける閲覧履歴(ページ本文とスクリーンショット)はキャッシュしておらず、一歩進むごとに、すでに見た内容をすべて正規料金でモデルへ送り直していた。さらにほぼ毎ステップで古いスクリーンショットを捨て本文を切り詰めていたため、履歴自体が変わり続け、原理的にキャッシュへ乗らない。捨てた事実のせいで、読んだページへ戻る羽目にもなりえた。
3 つの修正と 144 回の対照実験
Hidalgo は Astra の案から 3 つを選んで試した。キャッシュを閲覧履歴へ広げること、保持できるテキスト量を増やすこと(履歴予算 12 万文字と 48 万文字の対照)、スクリーンショットをまとめて消すこと(最良だったのは 20 枚まで溜めてから直近 1 枚だけ残す方式で、古い履歴が長く不変に保たれる)。全 144 回の実験では、公開デモカタログの 32 冊について各 6 項目を集める課題を、GPT-6.1 Sol と匿名の 3 モデルで比べた。結果は分けて読む必要がある。モデルを替えないワークフローだけの改善でも、Model B の 1 回あたりコストは少なくとも 36.21 ドル(上限ステップに達して未完の実行を含むため下限値)から 1.24 ドルへ、約 29 分の 1 になった。最適化した Sol の構成では 0.47 ドルと、さらに 2.6 分の 1 になった。つまり 76 倍の主因はワークフロー側にあり、モデル交代は上乗せに過ぎない。
履歴をどれだけ残すかで、完走できるかも決まる
同じ実験には価格より硬い結果もある。Sol で履歴予算が小さいと、18 回中 3 回しか答えが出なかった。予算を大きくすると 18 回すべてが正解で完走した。Sol だけを見ても、新しいキャッシュとスクリーンショット方針でコストは 1.97 ドルから 0.47 ドルへ下がり、入力の 89% がキャッシュから供給され、未キャッシュ価格の 5% で課金されたため、呼び出しごとに約 3 分の 1 になった。Asana はこの変更を StackAI のブラウザ操作へすでに反映し、こうした対照実験を基盤の評価ツールへ組み込む計画だ。
留保も同じだけ明確だ。これはベンダーが公開した単一顧客の事例で、コストは推定値、比較モデルは匿名、課題は 1 種類のみであり、76 倍はどのブラウザエージェントでも再現できる業界基準ではない。それでも、エージェントを作るすべてのチームが今日すぐ使える点検項目を残した。多段エージェントが高くなる一方なら、モデルを替える前に、各リクエストの中で正規料金で再送されている内容がどれだけあるかを数えること。履歴をどう残し、どうキャッシュし、どう捨てるかが、請求の大半を占めることは珍しくない。