AI ボイスレコーダーは、ここ2年で数少ない「本当に売れた」AI ハードウェアだ。売っているのはスペックではなく、「会議後に議事録を自分でまとめなくていい」という体験である。買う価値があるかどうかは、ひと月に何時間の対面会話を文字起こしする必要があるかにほぼ完全に依存する——月5時間以下と20時間以上では答えがまったく違う。
まず核心的な事実を押さえておこう。Plaud Note を例にすると、本体価格は159ドルで毎月300分の無料文字起こし枠が付属する。枠を超えると Pro プランは年99.99ドル(月1200分)だ。ライトユーザーは買い切り、ヘビーユーザーの本当のコストはサブスクリプションである。買う前に自分の「月あたり文字起こし時間」を数えよう。
本当に解決してくれること
その強みは、「スマホアプリではやりにくい」3つの場面に集中している。
1つ目は対面の録音だ。Plaud Note はカードサイズで、スマホの背面にマグネットで貼るだけで録音できる。64GBの内蔵ストレージで最大30時間の連続録音が可能で、アプリと同期後に文字起こしと要約が生成される。
2つ目は通話の録音だ。iPhone は通話録音に標準対応していないが、レコーダーをスマホ背面に貼れば、通常の通話も WeChat の音声通話も録音できる。最も過小評価されている機能であり、ソフトウェアでは代替しにくいポイントでもある。
3つ目は文字起こしの層だ。112言語対応、話者識別、1万種類以上の要約テンプレートを備え、多言語会議やインタビューでは汎用文字起こしアプリより使いやすい。
買う前に知っておきたい3つのハードル
1つ目は、文字起こし枠のサブスクという壁だ。月300分は多く聞こえるが、週2回の1時間会議であっという間に使い切る。枠を使い切っても録音は続けられるが文字起こしと要約は止まり、ヘビーユーザーは実質的に年額プランに縛られる。
2つ目は、リアルタイム文字起こしがないことだ。レコーダーは「先に録って、あとで同期する」方式だ。文字起こしと要約は同期後に生成されるため、その場でテキストが欲しい人には向かない。
3つ目は、録音という行為自体の境界だ。大きな会議室で複数人が同時に話す場面では、文字起こし精度も話者識別もはっきり落ちる——この種のハードウェアに共通する物理的な限界だ。
買って得する人、ホコリをかぶらせる人
得する人の像は明確だ。対面会議の多い営業・コンサル・記者、インタビュー記録が多いコンテンツ制作者、iPhone で重要な電話をかけ記録を残したい人だ。本体+サブスクのコストは、議事録整理に使っていた時間ですぐに回収できる。
損する人の像も同じくらい明確だ。会議の9割が Zoom・Teams・腾讯会議で行われる人——これらのプラットフォームには AI 議事録が内蔵されている。たまにしか記録しない人——スマホの録音機能と無料の文字起こしアプリで十分だ。「リアルタイム字幕機」を期待する人は品選びを間違えている。
結局のところ、AI ボイスレコーダーが売っているのは録音機能ではなく、話し言葉を文字に変える生産フローだ。まず文字起こし時間を数え、次にサブスクの請求を見る。この順番を逆にしてはいけない。