2026年9月23日、The Informationの報道を引用する形で複数のメディアが伝えたところによると、DeepSeek創業者の梁文鋒(リャン・ウェンフォン)氏は非公開の投資家会議で、モデル訓練の重心を国産チップへ移し、訓練にファーウェイのAscendシリーズを大規模採用する計画であることを明らかにした。同時に、DeepSeekは2兆パラメータのモデルを訓練中で、8兆パラメータ版の計画もあるという。梁氏は「国産チップでAIモデルを訓練すること」を同社最大の戦略的施策の一つと位置づけ、「必ず成功させる」と述べた。
最初に断っておくが、これはDeepSeekの公式発表ではなく、非公開会議の内容の又聞きだ。核心情報はThe Informationの報道に由来し、複数のテックメディアが追随しているが、DeepSeekもファーウェイも公式には応答していない。「未確認の噂」としての重みで読む必要がある。
非公開会議で語られたこと
各社の報道を突き合わせると、要点は4つだ。
第一に、訓練が国産チップへ移る。これまでDeepSeekの訓練は主にNVIDIAの高性能GPUに依存し、国産チップは推論側での利用が中心だった。今回の話では、ファーウェイAscendが最も計算資源を食う「訓練」の段階に入り、最初の新チップは早ければ2026年第4四半期に納入されるという。
第二に、モデルの規模はさらに拡大。訓練中の2兆パラメータモデルは、次期フラッグシップのV4.1 Proではないかと見られている。8兆パラメータ版はより長期の計画だ。参考までに、アリババのQwen 3.8 Maxは2.4兆パラメータ、月之暗面(ムーンショット)のKimi K3は2.8兆パラメータ。8兆は既存最大のオープンモデルの約3倍になる。
第三に、計算資源への投資。DeepSeekは国産AI計算資源の拡大に約300億元を投じる計画と報じられ、内モンゴルの1GWデータセンター向けにファーウェイからAscend 950DTを16万枚発注したとも伝えられている。
第四に、梁氏の判断:ファーウェイのチップは数年以内に性能でNVIDIAに追いつく。これが今回の動き全体の自信の源であり、同時に最大の不確実性でもある。
計算資源の帳尻:4対1の代償
国産チップへの転換はタダではない。報道にある換算では、OpenAI級の最大モデルを訓練するのにNVIDIA GB300が約5万枚、あるいはファーウェイAscend 950が少なくとも20万枚必要——およそ4対1の比率だ。別の数字では、2兆パラメータモデルの訓練にAscend約6万枚、対してNVIDIA H100/H200約3万枚とされる。
つまり同じ訓練タスクに対し、国産ルートは数倍の物理規模、消費電力、運用の複雑さを払うことになる。DeepSeekが賭けているのは二つ。輸出規制でNVIDIAの最上位カードがますます入手困難になること、そしてファーウェイのチップの改良速度がその差を埋められることだ。
なぜ今なのか
タイミングは偶然ではない。一方では、米国の対中チップ輸出規制が締まり続け、NVIDIAの中国での販売はたびたびつまずき、カードの備蓄の窓は狭まっている。他方では、ファーウェイは4月に、同社のチップがすでにDeepSeekの軽量モデルV4-Flashの訓練に部分的に使われていたことを開示している。「推論での試し」から「訓練の主力」へ——今回の動きは、その試行を戦略に格上げしたものだ。
偶然にも、そのちょうど1日前、アリババは自社開発AIチップ「鎮岳V900」を発表している(アリババ、鎮岳V900を発表:性能3倍、10兆パラメータ級モデルを狙う (/article/2050-alibaba-launches-zhenwu-v900-triple-the-performance-aiming-at-10-trillion-parame))。やはり兆級パラメータモデルの訓練と推論を狙ったものだ。国産AIチップは「予備案」から「本命」へと移りつつあり、DeepSeekのこの一手は、その中で最も重い賭けにすぎない。
どう見るか
技術的な詳細以上に象徴的な意味が大きい。中国のトップモデル企業が初めて、国産チップに「訓練」を託すと公言したことになる。DeepSeekが本当にAscend上で2兆パラメータのモデルを訓練できれば、国産計算資源チェーン全体の実現可能性を検証したことになる。チップ、インターコネクト、訓練フレームワーク、運用——すべての環が持ちこたえなければならない。
ただしリスクも現実的だ。4対1の計算コストは確かに存在し、ファーウェイの供給は先端メモリや部品の不足に制約され、梁氏自身の「必ず成功させる」という言葉自体が、これが退路のない賭けであることを物語っている。NVIDIAにとって、DeepSeekのような看板顧客を失うことは、中国でのAIチップシェアの緩みを示すまた一つのシグナルだ。
一般の開発者にとって、短期的にはAPI価格は変わらない。だが中長期的には、国産計算資源が本当に訓練コストを下げられれば、オープンモデルの反復速度も開放度も上がる可能性がある。まずは2026年第4四半期、ファーウェイの最初の納入が予定通り届くかを見よう。それがこの賭けを検証する最初のチェックポイントだ。