Claudeのテキスト透かしは対象を広げている。Anthropicは10月31日にAPI顧客へ送ったメールで、11月3日からClaude Mythos 5、Claude Opus 4.7、Claude Opus 4.6、Claude Sonnet 4.6の出力にもテキスト透かしが入ると発表した。これまでは2026年8月2日以降に公開された新しいモデルだけが既定で透かしを付けていた。旧モデルへの拡大は、EUのAI法が求める透明性義務に沿った通常の対応だが、Anthropicは同時に、2つの旧モデルではサンプリング・パラメータを1つ変えるだけで透かしが消えると認めており、コンプライアンス上の価値は割り引かれる。
Anthropicはこの透かしを「言葉の選び方に織り込まれた目に見えない模様」と説明する。文章の読み心地は変わらず、文字やトークンは増えず、価格や形式にも影響せず、出力速度もほとんど落ちない。透かしはモデル層に埋め込まれているため、Claudeアプリ、API、Claude Codeのいずれからでも、アマゾン ウェブ サービス、Google Cloud、Microsoft Foundryでホストされる版でも付与され、顧客が直接オフにすることはできない。検出APIは規制当局、メディア、研究者などの組織向けにプライベートプレビューでのみ提供されており、一般の読者は自分で確認できない。OpenAIのtextGrainはEUでのみ既定で有効化されており、やり方は異なる。詳しくはEUにおけるOpenAIのテキスト透かしの対応を参照。
パラメータを1つ変えると、透かしは消える
問題は2つの比較的古いモデルにある。メールによれば、Claude Opus 4.6とClaude Sonnet 4.6は、temperature、top_p、top_kの3つのサンプリング・パラメータがすべて既定値のときにだけ透かしが入る。いずれか1つを変えると、透かしのない出力になる。Anthropicは、透かしをコンプライアンスに利用するユーザーは既定値を維持すべきだと注意している。メールはMythos 5とOpus 4.7について同様の制限に触れておらず、この2モデルでは透かしがサンプリング設定の影響を受けないことを示唆している。Amazon Bedrockでの提供はさらに数日遅れる。
透かしが証明できること、できないこと
透かしは事後の追跡にしか使えない。透かしが検出されても、その文章がClaudeによって生成された可能性があることしか示さず、誰が書いたかや内容が正しいかは証明できない。品質をめぐる議論も決着していない。透かしの鍵に合わせて単語を選べば表現の精度が犠牲になるという指摘がある一方、法務業界は、顧客がAI利用を禁じた文書に透かしが入ることを懸念している。Anthropicの技術はGoogle DeepMindのSynthIDテキスト方式に由来し、単語選択のランダム性を調整して統計的に検出できる模様を残す。検出ツールがどこまで開放されるかが、実際にどれだけ役立つかを決める。詳しくはSynthID透かし検出ツールの開放状況を参照。
11月3日以降、4モデルの出力に透かしが入るようになり、EUのAI法第50条の透明性義務は12月に重要な節目を迎える。注目点は、Anthropicが旧モデルのパラメータの抜け穴をふさぐかどうか、そして透かし検出APIがプライベートプレビューからより多くの検証者に広がる時期だ。