2026年10月29日、Mistral AIはHugging Faceを通じてMistral Large 4(Le Chonk)のオープンウェイトを公開した。同社最大かつ最強のモデルで、総パラメータ数は約1兆、生成時にアクティブになるのは49B、コンテキストウィンドウは100万トークン、テキストと画像の入力に対応する。
10月6日の公開プレビューとの違いは、重みそのものをダウンロードしてセルフホストできる点にある。公式版はFP8とNVFP4の2種類で、DSparkの推測デコーディング用ドラフトヘッドを内蔵する。Hugging Faceの紹介記事によると、transformers、vLLM、llama.cppはいずれも公開初日から対応し、vLLMはFP8とNVFP4の差が複数の評価で2.1ポイント以内に収まったと報告している。
セキュリティ能力が今回の主役
Mistral Large 4は、実際の脆弱性を再現してパッチを当てるテストで82%、セキュリティ競技の課題40問で構成されるCybenchで93%を記録した。Hugging Faceの記事は、クローズドモデルは安全フィルターによって脆弱性の再現を拒むことが多い一方、オープンウェイトなら防御チームが自ら展開と利用方針を決められると指摘する。とはいえ無条件に受け入れるわけではなく、ジェイルブレイクや有害な要求に対する平均拒否率は他のオープンウェイトモデルより高かった。
ダウンロードできることと、誰でも動かせることは別
ローカルで動かす敷居は依然として高い。Unslothの1ビットGGUF量子化版は容量を約233GBまで圧縮し、top-1精度の91%を維持するとされるが、それでも256GB超のメモリが必要で、Mac Studio級のマシンが対象だ。一般的な展開では依然としてBlackwell級GPUが8枚必要になる。
ライセンスにも境界がある。重みはMITライセンスを改変したMistral Ecosystem Open-Weight Licenseの下で提供され、利用、改変、ファインチューニング、商用化は無料だが、モデルをサービスとして提供する場合はMistralの商用ライセンスを別途取得しなければならない。Mistral公式APIの料金は、入力100万トークンあたり0.70ドル、出力100万トークンあたり2.10ドルだ。
セキュリティ、金融、法律のチームにとって、今回の価値はパラメータ数そのものではない。セキュリティ評価で際立つフロンティアモデルを、自社のインフラの中に置けるようになったことだ。ただし導入の前に、ハードウェア、ライセンス、運用の3つのコストを計算しておく必要がある。