コロラド州自動意思決定技術法(SB 26-189)は正念場を迎えた。2026年10月26日、コロラド州司法長官府は同法の施行規則に関する公開公聴会を開き、書面意見の提出は同日山地時間23時59分に締め切られる。公聴会が26日を超えて続く場合、意見募集はその最終日まで延長される。同法は2027年1月1日以降に行われる重大な決定に適用され、企業に残された準備期間は2か月余りしかない。
この法律は何を規制するのか
まず範囲を明確にしておく。これは米国コロラド州の州法であり、全米共通のルールでも、ましてや世界標準でもない。規制対象は、教育、雇用、住宅、融資その他の金融サービス、保険、医療、基幹的な政府サービスなどの分野で、重大な決定に実質的な影響を与える自動意思決定技術である。同時に成立したチャットボット安全法(HB 26-1263)も同じ規則制定の対象で、対話型AIサービスを対象とし、未成年者の保護や司法長官への年次報告を含む。
見落としやすい経緯もある。2024年に成立し、2026年6月30日の施行が予定されていたSB 24-205は、2026年5月14日に署名されたSB 26-189によって廃止・置き換えられた。旧法の影響評価を前提に組んだコンプライアンス体制は組み直しが必要だ。新法は個々の決定により密接に関わり、一部の義務はかえって実務化が難しい。
10月6日の中間改定案:「実質的な影響」の判断基準
司法長官府は2026年8月11日に規則案を提出し、10月6日に中間改定案を公表した。最も重要な追加は、実質的な影響に関する推定基準である。意思決定者が個人に関するスコア、順位、推薦、閾値などの出力を確認し、その出力が最終決定と一致する場合、そのシステムは決定に実質的な影響を与えたと推定される。導入者は、その出力がごくわずかな要因にすぎなかったことを示して推定を覆すことができる。逆に、情報を要約・整理・提示して人の審査に供するだけのツールは、この技術の定義に含まれない。
改定案の例は明快だ。信用組合がリスクスコアの閾値を下回る申込者への融資を拒否すれば、それは実質的な影響に当たる。同様に重要なのは、第三者に運用を委託しても責任は移らないことだ。第三者の出力を使って決定を下す導入者は、その決定に引き続き責任を負う。
開発者と導入者がそれぞれ負うもの
開発者が負うのは文書化である。想定用途、学習データの種類、既知の限界、適切な人間による審査方法などの技術文書を下流に提供し、コンプライアンス記録を少なくとも3年間保存しなければならない。導入者が負うのは決定後の対応である。システム使用前の通知、不利な重大決定から30日以内の平易な言葉による説明、不正確な個人データの訂正の機会、そして意味のある人間による審査と再検討である。
リスクはどこにあるか:執行の一時停止は作業停止ではない
現在、連邦裁判所の命令が、当事者双方の共同申立てに基づき、命令で定められた期間中の司法長官による執行開始を制限している。しかし、法定の遵守日である2027年1月1日は変わらず、規則制定はそれまでの規則確定を目指している。さらに重要なのは、この一時停止が司法長官の執行を対象とするもので、差別などの他の法的リスクを消すものではないことだ。顧客に全面的な責任を負わせる契約条項も、開発者自身の責任を移転させることはできない。
今やるべきことは三つある。第一に、コロラド州住民の重大な決定に実質的な影響を与えるシステムを棚卸しすること。採用、融資、保険引受が最優先だ。第二に、出力の記録、通知テンプレート、人間による審査フローの欠落を補うこと。記録の欠落は1〜2週間では埋まらない。第三に、実質的な影響の判断基準や第三者の責任分担など曖昧な点について、10月26日の締切前に意見を提出すること。規則が確定してから変えるコストは、草案段階で働きかけるコストよりはるかに高い。