2026年10月24日、公共安全テクノロジー企業のAxonは公式プレスリリースで、次世代ボディカメラ「Axon Body 5」を発表した。処理能力は前世代の25倍、バッテリーは20%長持ちし、初めて標準モデルとProモデルの2バージョン展開となる。かつて事後の証拠記録だけを担っていた機器を、署に戻ってから映像を処理するのではなく、現場でリアルタイムに機能させたいというのがAxonの狙いだ。
記録から介入へ
従来のボディカメラの仕事は、撮って保存することだった。証拠であり、監督の手段である。Body 5はこの発想を変えた。強化された端末側の処理能力、低照度性能の向上、より安定した接続、より精密な位置情報はすべて、勤務中にAI機能を動かすためのものだ。AI Era Planにある既存ツールが方向性を示している。Draft Oneはボディカメラの音声から報告書の下書きを作り、Axon Assistantは音声による情報検索とリアルタイム翻訳を提供する。Body 5はそれらのツールを支える、より頑丈なハードウェア基盤である。
Proモデルが追加するもの
両モデルは処理能力、映像、接続、バッテリーの強化を共有する。Proモデルはさらに3つのハードウェアを追加する。運転免許証をスキャンする近接カメラで、パトカーに戻ることなく数秒で免許の状態確認や手配情報の照会ができ、結果はAxon Fususプラットフォームに送られる。対面する相手に向けて音声をより明瞭に届ける4つの前面スピーカーで、リアルタイム翻訳が交通騒音や群衆のざわめきの中でも聞き取れる。そして複数のAIツールを同時に動かすための追加メモリだ。この3つは同じ場面を向いている。路上の停車・尋問の最中、現場を離れずに、かつては車内に戻らなければ得られなかった情報を手に入れることだ。Axonの創業者兼CEO、Rick Smithも発表時に同じ趣旨を述べた。警官は情報取得と現場注視のどちらかを選ぶべきではない、と。
Guardian:AIが知らせ、人が決める
Body 5とともに登場したのがAxon Guardianだ。AI Era Planにおける新しいリアルタイムAI機能群で、現場機器と連携するために作られた。最初の2機能は、エスカレーション検知と接近アラートである。前者はBody 4またはBody 5の録画中に潜在的な衝突をリアルタイムで検知し、Fususにアラートを上げ、担当者がライブ映像を確認して増援の要否を判断する。後者はFleet 3の車載システムが、停車させた車両のドアが開いたことを検知し、車内ディスプレイとボディカメラを通じて警官に警告する。鍵は役割分担だ。AIは気づき、知らせる。人は判断し、行動する。Axonは、両者が同社のResponsible Innovationフレームワークに沿い、独立した倫理・公平諮問委員会の助言を得て開発され、データの管理権は各機関に残ると強調する。取り締まりの現場では、誤報のコストは不必要なエスカレーションであるため、この分担は精度の数字以上に重要だ。
未発表の部分こそ注目に値する
AxonはBody 5とGuardianの一般提供時期も、価格も、構成ごとの機能差も公表していない。つまり今回の発表は方向性の表明に近い。ハードウェアはリアルタイムAIを動かす準備ができているが、成否を決めるのは今後数四半期の現場実績だ。騒がしい通りで翻訳がどれだけ頼りになるか、衝突検知の誤報がどれだけ出るか、各機関がデータ利用のルールをどう定めるか。Body 5の意義は「ボディカメラが強くなった」ことではなく、AIがオフィスやスマートフォンから、初めて大規模に街頭のリアルタイム業務へ進出することにある。