Ming-3.0-tts は、アントグループの AI チーム inclusionAI がオープンソースとして公開した音声合成モデルシリーズだ。2026 年 10 月 19 日、推論コード、モデル重み、完全な評価表が GitHub の inclusionAI 組織に MIT ライセンスで一斉に公開され、重みは Hugging Face と ModelScope にも置かれた。今回は二つのモデルが同時リリースで、0.5B パラメータの dense 版と、Ling V3 をベースにした tiny 版(総パラメータ 7.9B、活性化 1.3B の MoE 構成)である。
売りは音質ではなく「どう話すか」
この世代の Ming は、制御の粒度をテキストの中に持ち込んだ。14 種類の副言語タグをテキストに直接書き込んで、笑い声やため息といった言葉以外の音を指示できる。自然言語の指示で語り口を指定したり、スタイルの説明だけで新しい声を「設計」したりもできる。声の出どころは三通りで、参考音声のクローン、テキストによる設計、そして 100 種類以上の中国語音色と 5 種類の英語音色からの選択だ。対応言語は中・英・独・西・仏・韓・日の七つに、四川語と広東語の方言が加わる。複数話者のポッドキャスト風対話の生成は tiny 版だけの機能だ。
スコアボード:発音の頑健性で総合 1 位
チームが公表した Artificial Analysis のランキング(2026 年 10 月)では、Ming-3.0-tts は Controlled Voice でオープンウェイトモデルの 1 位、Pronunciation Robustness(発音の頑健性)で正確率 93.2% の総合 1 位を獲得し、略語展開 96.5%、正確な系列の保持 90.6% という下位指標でも首位だった。Provider Voice ではオープン勢の 3 位。発音の頑健性は TTS が実運用で最もつまずきやすい部分で、数字や略語、固有名詞を一度読み違えただけで聞き手は音声全体への信頼を失う。この 1 位は、音質系の指標よりも実は価値が高い。
ダウンロード前に知っておくべき境界
二つのモデルの実行環境は共通ではない。0.5b のテスト環境は H800-80GB と H20-96G で、tiny は専用の参照環境(PyTorch 2.7.1 + CUDA 11.8)が必要で、公式ドキュメントは分離インストールを明記している。能力の任意の組み合わせもできず、各タスクモードは規定された入力しか受け付けず、他モードの制御は拒否される。技術レポートと vLLM-Omni による高速化推論はまだロードマップ上で、今すぐ使えるのは重み、コード、タスク手引きだけだ。公式デモページには各タスクの音声サンプルがあるので、ダウンロードする価値があるか先に聞いて判断できる。